#07「チャンス・フォー・チルドレン」に聞く、ソーシャル・イノベーションを起こすために大切なこと
「みてね基金」では現在、第四期 イノベーション助成の申請を公募中です。
イノベーション助成は、革新的な解決策のアイデアと実行力を持っている団体に、その取り組みを進めるための、1団体最大1億円のまとまった投資的資金を提供するプログラムです。
「みてね基金」では、より多くのNPOの皆さまに助成申請をご検討いただきたいと考え、第二期 イノベーション助成で採択した7団体に、「ソーシャル・イノベーションを起こすために大切なこと」に関する3つの質問にお答えいただきました。
全7回に渡り、各団体が考える「ソーシャル・イノベーションを起こすために大切なこと」をお届けします。
最終回となる7回目は「公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン」代表理事 今井 悠介さんです。
Q. 現在取り組まれているイノベーション助成事業において、イノベーションを起こすために重視しているポイントを教えてください。
A. ステークホルダーをどのように拡大するかが最も重要です。NPOのステークホルダーはとても多様です。当団体は、クーポンを利用する子どもたち、その保護者、クーポンを利用できる習い事や教室、子どもを支援する大学生ボランティア、当団体の会員や寄付者、協働事業を行う自治体や企業、各地域で協働するNPOなど、多くの方の協力を得て、成り立っています。イノベーション助成で採択された事業を機会に、新たなステークホルダーと協力関係を織り、紡ぐことによって、これらステークホルダーの質と量が拡大することがイノベーションの評価指標のひとつだと思います。
Q. イノベーションを起こす上で、団体や組織としてどうあるべきか、イノベーションを起こす団体に必要な要素とは何か、についてご意見をお聞かせください。
A. イノベーションが新たな関係性を築くこととするならば、これまで安寧していた場所を離れることを意味するため、新たな関係性は当団体にさまざまな機会と軋轢を生み出します。これまでの成功の方程式を一旦横に置き、新たなモデルの仮説をたて、試行し、再構築するためには、アジャイル開発のような行ったり来たりが必要です。そのため、イノベーションを起こす団体には柔軟性が大事です。当初策定した計画は大事にしつつ、予想外の出来事や出会いをすぐに評価し、学び、必要なら取り入れ、より最適なモデルを目指さないといけません。このような体制やスタッフの態度を、一言で表すと柔軟性だと思います。
Q. 最後に、貴団体にとってイノベーションとは何か、を教えてください。
A. 新たなニーズを発掘し、それを充足するためのモデルを構築し、新たなステークホルダーの協力を得る。これら一連の取り組みは、エコシステムの創造だと言えます。当団体にとってのイノベーションとは、当団体の既存の事業が作ったエコシステムにある程度は重複するにせよ、新たなエコシステムを作ることです。さまざまなステークホルダーが参画できるエコシステムが、いろいろな地域で構築されることで、抜本的に解決できなくても、社会課題が緩和される可能性が高くなります。また、自分たちの地域でイノベーションを実装したいという新たなプレーヤーの出現も期待できます。
今井さん、ありがとうございました。
以上、7団体が考える「ソーシャル・イノベーションを起こすために大切なこと」をお届けしました。
「みてね基金」では、子どもやその家族を取り巻く社会課題の解決に向けて、革新的なアイデアの申請をお待ちしています。