#03「キッズドア」に聞く、ソーシャル・イノベーションを起こすために大切なこと
「みてね基金」では現在、第四期 イノベーション助成の申請を公募中です。
イノベーション助成は、革新的な解決策のアイデアと実行力を持っている団体に、その取り組みを進めるための、1団体最大1億円のまとまった投資的資金を提供するプログラムです。
「みてね基金」では、より多くのNPOの皆さまに助成申請をご検討いただきたいと考え、第二期 イノベーション助成で採択した7団体に、「ソーシャル・イノベーションを起こすために大切なこと」に関する3つの質問にお答えいただきました。
全7回に渡り、各団体が考える「ソーシャル・イノベーションを起こすために大切なこと」をお届けします。
3回目は「認定NPO法人キッズドア 」理事長 渡辺 由美子さんです。
Q. 現在取り組まれているイノベーション助成事業において、イノベーションを起こすために重視しているポイントを教えてください。
A. 私たちは外国ルーツの子どもと保護者の包括的支援に取り組んでいます。日本語が話せないお子さんが学校に定着しづらいという社会課題がありますが、それはお子さんの日本語力と共に、保護者が日本の学校の独特の仕組みを理解できず困り果てていることも大きな要因です。
学校からのお知らせが読めない、提出書類が記入できないなど日本の学校で戸惑う場面をきめ細かくとらえ、やさしい日本語、英語、中国語で解説する「ことこと」というウェブサイトを開設しました。イノベーションを起こすために、表層に現れた課題のもとにある要因を探り、荒削りでもいいので形にしていくことを大切にしています。
Q. イノベーションを起こす上で、団体や組織としてどうあるべきか、イノベーションを起こす団体に必要な要素とは何か、についてご意見をお聞かせください。
A. 一つは、変化を恐れないことです。熱い思いや、堅い志はもちろん重要ですが、現実は目まぐるしく変化していくものです。その変化に臨機応変に、かつ迅速に判断し行動することができる団体であることを心掛けています。
もう一つは、さまざまなステークホルダーとの連携・協働に積極的に取り組むことです。外国ルーツの子どもやご家族をめぐる課題はさまざまですが、それを自団体だけでカバーすることは困難です。同じ地域で活動する関連団体や行政とネットワークを構築し、定期的に議論を重ね、連携した支援に取り組むとともに、地域のボランティアにも積極的にかかわっていただき、課題への理解促進、地域で子どもを育てる機運の醸成に努めています。
Q. 最後に、貴団体にとってイノベーションとは何か、を教えてください。
A. 私たちにとってのイノベーションは、今、マイノリティな存在になりつつある子どもが「まんなか」にいる社会を創ることです。私たちは「すべての子どもが夢や希望を持てる社会へ」をビジョンに、様々な困難を抱える子どもたちを学習支援や居場所運営で直接支援しながら、そこで得たノウハウを日本全国の団体に提供、また子どもや保護者の厳しい実態や声を調査報告にまとめて広く社会に発信し、政策提言へとつなげています。
渡辺さん、ありがとうございました。
次回は「公益社団法人東京子ども子育て応援団」創設者・事務局長 河野 司さんです。